里帰り先の実家で、夜中に授乳をしながらスマホを見る。夫からは「元気にしてる?」のスタンプ。かわいい、と返しながら、ふと思う。この人は今、うちの子が何時間おきに起きているのか、たぶん想像もついていない。
里帰り出産は、産後の体を休めるための、ありがたい選択肢です。それでも、戻ってきた日にいちばん困るのが「夫だけが赤ちゃんのことを何も知らない」状態だった、という声は少なくありません。この記事では、里帰りで起きる情報の分断がどこから来るのかと、離れていても埋められる方法を考えます。

里帰り出産の流れと、手続きの目安
先に、里帰り出産の大まかな流れを整理しておきます。細かい決まりは、自治体や病院によって違います。
| 時期 | やること | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 妊娠初期 | 里帰り先の病院を決め、分娩の予約をする | 地域によっては分娩できる施設が少なく、早めの予約が必要なことがある |
| 妊娠中期〜後期 | 里帰り先の病院で健診を受けはじめる | 移動する時期は、かかっている医師と相談して決める |
| 里帰り中の健診 | 住んでいる市区町村の受診票が使えるか確認する | 使えない場合も、あとから申請すると費用の助成を受けられる自治体がある(申請期限に注意) |
| 出産後 | 出生届を出す | 生まれた日から14日以内。里帰り先(出生地)の役所にも出せる |
| 帰宅 | 自宅に戻る | 産後の体調や赤ちゃんの健診の予定を見て、医師と相談して決める |
妊婦健診は、住んでいる市区町村が費用を助成しています。里帰り先で受けるときの扱いは自治体ごとに違うので、里帰りの前に、住んでいる自治体の窓口で確認しておくと安心です。領収書は必ず取っておきましょう。
問題は「距離」ではなく「はじまりに立ち会えなかったこと」
里帰り出産でよくつまずくのは、「離れているあいだ連絡が取りづらい」ことではありません。本当の壁は、育児のいちばん変化が激しい最初の1〜2か月を、片方だけが体験してしまうことにあります。
新生児期は、授乳の間隔も、うんちの回数も、眠り方も、毎週のように変わります。里帰り中の母親は、その変化を毎日その手で受け止めています。一方で父親は、たまに写真が送られてくるだけ。戻ってきたときには、赤ちゃんの「今のリズム」を母親だけが体で覚えていて、父親はゼロからのスタート。この差こそが、里帰り明けのしんどさの正体だと思います。
作業を分担する以前に、片方だけが状況を把握しているという状態が生まれてしまう。これは同居していても起きることですが、里帰りは物理的に離れているぶん、その差がまるごと固定されやすいのです。(同居中の情報格差については、「言わなくても分かって」は無理。育児の情報格差を、記録でなくすでも書きました。)
「休むための里帰り」が、なぜ帰宅後の負担になるのか
里帰りは、母親が休むための仕組みのはずです。それなのに、戻ったあとに負担が倍返しになることがある。ここには、少し皮肉な構造があります。
里帰り中、父親は「不在」でいることが許されます。悪気があるわけではなく、そばにいないのだから当然です。ところが、そのあいだに赤ちゃんの世話は母親(と実家の家族)だけで回り、育児の初期設定がすべて母親側に集約されてしまう。戻ってきた父親は、いわば途中から入社した新人のような状態になります。何もわからないのに、いきなり夜も含めた実戦です。
産後は、身体の回復にも心の変化にも時間がかかる時期です。里帰りから戻る前後は環境が大きく変わるタイミングでもあります。気分の落ち込みが2週間以上続く、眠れない、赤ちゃんがかわいいと思えない。そんなサインがあるときは、無理をせず、産婦人科や市区町村の産後ケア窓口に相談してください。
だからこそ、里帰りのあいだにやっておくといいのは、荷物の準備でも部屋の掃除でもないと思うのです。父親を「途中入社」ではなく「はじめから知っている人」にしておくことではないでしょうか。
離れているあいだにできること
里帰り中にできる準備は、大がかりなものである必要はありません。要は、赤ちゃんの「今」を、父親も同じ解像度で見られるようにしておくことです。
| 時期 | 母親(里帰り先) | 父親(自宅) |
|---|---|---|
| 里帰り前 | 記録の付け方を2人で決めておく | アプリを入れておく/共有を受ける |
| 里帰り中 | 授乳・うんち・睡眠を毎日つける | 毎日その記録に目を通す |
| 帰宅の1〜2週間前 | 最近のリズムを共有する | 夜間の担当を1つ決めておく/休みの予定を立てる |
| 帰宅後 | 「説明」ではなく「一緒に見る」 | 記録を見て自分で動く |
ポイントは、帰宅してから口頭で引き継ごうとしないことです。授乳の間隔も、うんちの色も、寝つきの癖も、言葉で全部伝えるのは無理があります。里帰り中から同じ記録を父親も見ておけば、帰宅初日には「もう知っている」状態から始められる。この差はとても大きいと思います。
父親が仕事を休めるなら、帰宅の時期に合わせるのも一つの方法です。「産後パパ育休」は、子どもが生まれてから8週間以内に、通算4週間まで取れます。2回に分けることもできるので、出産直後に1回、里帰りから戻る時期にもう1回、という使い方もできます(厚生労働省)。
夜間授乳がいつまで続くのか不安なときは、夜間授乳はいつまで?記録から見えてくる「終わりの気配」も参考にしてください。
ママレコでできること
こうした「離れていても同じ記録を見る」は、まさにママレコが得意とするところです。
ママレコでは、授乳・おしっこ・うんち・睡眠・離乳食といった育児の記録を、パートナーと共有できます。しかもこの共有機能は無料です。里帰り先の母親がつけた授乳やうんちの記録が、自宅にいる父親のアプリにも表示される。父親は送られてくる写真を眺めるだけでなく、赤ちゃんが今どんなリズムで過ごしているのかを、数字とタイムラインで具体的に追えます。
記録はどちらからでも追加・編集できるので、帰宅後は父親が夜間の授乳を記録し、母親がそれを見る、という形にも自然に切り替わります。「途中入社の新人」だった父親が、里帰りのあいだに少しずつ当事者になっていける。それが、共有のいちばんの価値だと思います。

なお、共有されるのは育児・成長の記録で、生理や基礎体温、妊娠に関する記録、プライベートな予定は共有されません。見せたい情報だけがパートナーに届く仕組みなので、里帰り中でも安心して使えます。
ママレコが表示する予測・判定は、記録にもとづく目安であり、医療的な診断ではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。
里帰りは「離れる時間」ではなく「一緒に準備する時間」
里帰り出産は、母親が体を休めるための大切な時間です。その時間を、父親を置いてけぼりにする期間にするか、2人で赤ちゃんを迎える準備の期間にするかは、離れているあいだの過ごし方で変わってきます。
戻ってきた日に、ゼロから説明を始めなくていい。それだけで、里帰り明けの最初の1週間は、ずいぶん違うものになるはずです。まずは、今日の授乳を1回、記録してみるところからでいいと思います。
参照
- こども家庭庁(健やか親子21)「産後ケア事業を利用したい方」
- 厚生労働省「産後パパ育休(育児休業制度特設サイト)」
- 法務省「出生届」
- こども家庭庁「妊婦健診に関する取組み」
- 国立成育医療研究センター「こころの診療科」
- 国立成育医療研究センター「産後、同時期にメンタルヘルスの不調で苦しんでいる夫婦は年間約3万組!?」
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