離乳食の本を開くと、たいていきれいな献立表が載っています。曜日ごとに、食材が整然と並んでいる。
あの表を見て、そっと閉じた経験はないでしょうか。 私はあります。「これを毎日? 無理では?」と。
だから、この記事では最初の一週間だけを、できるだけ具体的に書きます。そして、完璧にやらなくていい理由も書きます。

始める時期は「月齢」より「サイン」
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳の開始は生後5〜6か月ごろが適当とされています。
ただ、日付が来たから始めるものではありません。ガイドには、赤ちゃんの側に出てくるサインの目安が書かれています。
- 首のすわりがしっかりして、寝返りができる
- 5秒以上座れる
- スプーンなどを口に入れても、舌で押し出すことが少なくなる
- 食べ物に興味を示す
発育には個人差があるので、月齢はあくまで目安です。焦る必要はまったくありません。
なお、「アレルギーが心配だから遅らせる」は、おすすめされていません。離乳の開始を遅らせても、食物アレルギーの予防になるという科学的な根拠はないとされています。
離乳食の進め方の全体像
最初の一週間の話の前に、1歳すぎまでの流れをざっと見ておきます。ガイドの目安をまとめると、こうなります。
| 時期 | 回数の目安 | かたさの目安 |
|---|---|---|
| 初期(5〜6か月ごろ) | 1日1回 | なめらかにすりつぶした状態 |
| 中期(7〜8か月ごろ) | 1日2回 | 舌でつぶせるかたさ |
| 後期(9〜11か月ごろ) | 1日3回 | 歯ぐきでつぶせるかたさ |
| 完了期(12〜18か月ごろ) | 1日3回+必要に応じて補食 | 形のあるものを、かみつぶして食べられる |
初期のうちは、母乳やミルクは授乳のリズムに沿って、赤ちゃんが欲しがるままあげます。中期からは、離乳食のあとに母乳やミルクをあげる形へ。
食材は、おかゆ(米)から始めます。慣れたら、じゃがいもやにんじんなどの野菜、果物。さらに慣れたら、豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄へと広げていきます。
最初の一週間(10倍がゆから)
ここからは、初期の最初の一週間を具体的に書きます。よく言われるのは、午前中の機嫌のいい時間帯に始めることです。万一、体調の変化があったときに、小児科に相談しやすい時間だからです。
進め方の一例です。ガイドにあるのは「新しい食品は1さじずつ、様子を見ながら量を増やす」という考え方で、日ごとの量が決まっているわけではありません。
| 日 | 内容 |
|---|---|
| 1日目 | 10倍がゆ(すりつぶす)を小さじ1 |
| 2日目 | 小さじ2 |
| 3日目 | 小さじ3 |
| 4〜7日目 | 小さじ3〜4を続ける(増やさなくてよい) |
10倍がゆは、米1:水10で炊いて、なめらかにすりつぶしたものです。裏ごしすると口当たりがよくなります。
おかゆに慣れたら、野菜を1種類(にんじん、かぼちゃ、じゃがいもなど)を、同じく1さじから。新しい食材は1種類ずつ試すと、体調に変化があったときに、何が原因かを考えやすくなります。
はちみつは、1歳を過ぎるまであげません。乳児ボツリヌス症を起こすおそれがあるためです。牛乳を飲み物としてあげるのも、1歳を過ぎてからが望ましいとされています。離乳を始める前の果汁やイオン飲料は、栄養の面で必要ありません。味つけも、始めたばかりのころは調味料はいりません。食べたあとに、じんましんや、せき・ゼーゼーする、吐くといった様子があれば、自己判断せず医師に相談してください(厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」)。
初期の目的は、飲み込むことや、舌ざわり・味に慣れることです。しばらくは母乳やミルクが主な栄養源なので、量が食べられなくても心配いりません。スプーンに慣れる、飲み込む感覚を覚える。それだけで十分に目的を果たしています。
「食べてくれない」で消耗しないために
作ったものを、ぜんぶ吐き出された。10分かけてすりつぶしたのに、一口も食べない。
あの徒労感は、本当にこたえます。そして、困っているのはあなただけではありません。厚生労働省の調査では、0〜2歳の子の保護者の74.1%が、離乳食で何かしら困ったことがあると答えています。

いちばん多いのは「作るのが負担、大変」でした。ガイドも、ベビーフードを上手に使って負担が軽くなるなら、それも一つの方法だとしています。
でも、思い出してください。今は栄養を摂る時期ではなく、練習の時期です。食べなかった日は、「練習をしなかった日」であって、失敗ではありません。
そして、気まぐれです。昨日食べなかったものを今日は食べる、ということが平気で起きます。1食単位で評価しないこと。これに尽きます。
「何を、どれくらい食べたか」は覚えていられない
とはいえ、まったく気にしないのも難しいと思います。「最近ちゃんと食べてるかな」「にんじんは大丈夫だったっけ」——気になります。
問題は、それを記憶に頼っていることです。

ママレコの離乳食の記録は、シンプルです。
- メニュー(食べたもの)を書く
- 量を選ぶ(完食/たくさん/半分/少し/食べず)
- メモを添える
これだけです。新しい食材を試した日を記録しておけば、「にんじんはいつ試したか」「反応はどうだったか」が後から見返せます。 アレルギーが疑われたときにも、この記録が役に立ちます。
健診・保育園で効いてくる
離乳食の記録が地味に効くのは、健診と、保育園の入園時です。
「離乳食はどのくらい進んでいますか」「食べられる食材は何ですか」——必ず聞かれます。保育園では、「その食材を家で食べたことがあるか」を確認するチェックシートを求められることがあります。記憶だけで埋めるのは、かなりの苦行です。
記録が残っていれば、見ながら書けます。それだけのことですが、当日の負担がまるで違います。

献立表どおりでなくていい
最後に。冒頭の「きれいな献立表」の話に戻ります。
あれは理想であって、基準ではありません。おかゆと、野菜と、たまにたんぱく質。それでいいと思っています。
大事なのは、続けられること。そして、続けるためには、記憶ではなく記録に任せてしまうことです。
参照
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