臨月が近づいてきて、ふと「出産準備リスト」と検索したら、肌着は何枚、ガーゼは何十枚、ベビーベッドにベビーバスに……と40個も50個も並んだリストが出てきて、かえって手が止まってしまった。そんな経験はないでしょうか。全部そろえないと出産に間に合わない気がしてくる一方で、お金にも置き場所にも限りはあって、どこから手をつけていいか分からなくなる。
この記事では、出産準備を「全部先にそろえる」から一度離れて、今すぐ要るもの・退院してすぐ要るもの・後から買えるものの3つに切り分ける考え方を整理します。

出産準備は「3つの締め切り」で分けると軽くなる
先に結論を書きます。出産準備リストは、そろえる締め切りが早い順に3つのグループに分けると、やることが一気に減ります。
ひとつめは、入院のときに自分が持っていくもの。ふたつめは、退院した直後から赤ちゃんに使うもの。みっつめは、産まれてから様子を見て買えばいいもの。世に出回っている長いリストは、この3つが全部ひとまとめに並んでいるから多く見えてしまうだけで、「今この瞬間に必要なもの」だけを取り出すと、実はそれほど多くありません。
大事なのは、みっつめのグループを今そろえようとしないことです。抱っこひもやベビーカー、おもちゃ、たくさんの服。これらは無くても退院後の数日は困りません。困ってから、あるいは赤ちゃんの様子が見えてから買っても十分に間に合います。
なぜ「全部先に買う」とムダが出やすいのか
上位の準備リストは、たいてい「あると便利なもの」まで含めて網羅的に書かれています。網羅は親切ですが、そのまま全部そろえようとすると、使わないものが必ず出てきます。理由は大きく3つあります。
まず、出産は予定日どおりには来ないこと。予定日はあくまで計算上の一点で、その日に産まれる人はごくわずかです。妊娠37週0日から41週6日までに産まれれば「正期産」とされ、この幅のどこで産まれても標準的なお産と考えられています。早まることも過ぎることもあるからこそ、「予定日の直前にまとめて買う」より「妊娠36週ごろまでに最低限だけ」そろえておくほうが安全です。予定日の数え方そのものは「妊娠週数の数え方。「妊娠2週」ではまだ受精していない、という話」で詳しく触れています。
次に、赤ちゃんによって要不要が変わること。生まれてくる体格は事前には分かりませんし、母乳の出方も人それぞれです。先に哺乳瓶とミルクを大量に用意したのに結局ほとんど母乳だった、逆に「母乳だけでいこう」と決めていたのにミルクが要ることになった、というのはよくある話です。産まれる前に決めきれないものは、決めきらないでおくほうがムダになりません。
そして、たいていのものは数日で手に入ること。ネット通販でも近所のドラッグストアでも、日用品に近いベビー用品は翌日か数日で届きます。「無くて困ったら買う」で回るものが、思っているよりずっと多いのです。
後回しにしてよいものが多い一方で、安全に関わるものは先にそろえておく必要があります。自家用車で退院するなら、6歳未満の子どもはチャイルドシートの着用が法律で義務づけられていて、退院の帰り道からもう必要です。赤ちゃんを寝かせる場所も、就寝環境にまつわる事故が毎年報告されているので、あわてて用意するより落ち着いて整えておきたいところ。「安全」と「便利」を同じリストで扱わないことが、切り分けの第一歩です。
3つに切り分ける早見表
言葉だけだと分かりにくいので、締め切りの早い順に並べてみます。産院によって入院時に貸してくれるもの(おむつ・パジャマなど)が違うので、まず産院がくれるリストを確認するのが遠回りに見えて一番の近道です。
| グループ | そろえる目安 | 例 |
|---|---|---|
| ①入院バッグ(自分用) | 妊娠36週ごろまで | 母子健康手帳・診察券・健康保険証、パジャマ、産褥ショーツ、洗面用具、スマホの充電器、退院時の赤ちゃんの服とおくるみ |
| ②退院してすぐ使う | 出産前〜退院まで | 短肌着・コンビ肌着を数枚、おむつ、おしりふき、ガーゼ、赤ちゃん用の体温計、寝かせる場所、(車なら)チャイルドシート |
| ③様子を見てから | 産後に判断 | 哺乳瓶・粉ミルク(母乳の出方を見てから)、抱っこひも、ベビーカー、ベビーバス代わり、おもちゃ、大量の服 |
入院バッグは早めに一つにまとめる
陣痛や破水は、予定日より早く来ることがあります。臨月に入ってから慌てて詰めるのではなく、妊娠36週ごろまでに一つのバッグにまとめて、玄関の近くに置いておくと落ち着きます。中身のうち産院で用意されるものは省けるので、まずは産院のリストと突き合わせて、足りないものだけ足す形にすると軽くなります。
肌着とおむつは「少なめ+買い足し前提」
新生児サイズはあっという間に着られなくなります。最初から大量に用意するより、まずは短肌着とコンビ肌着を数枚ずつ、おむつも1パックから始めて、サイズや使うペースが見えてから買い足すほうがムダが出ません。おむつは体格によって新生児用がすぐ小さくなる子もいるので、箱買いは様子を見てからで十分です。
リストは、ひとりで抱え込まない
ここまで読んで、「頭の中でグループ分けをするのは、それはそれで大変」と感じた方もいると思います。私も、買うものリストを紙に書いては、どこにしまったか分からなくなるタイプです。
ママレコには、日付にも記録にも縛られないメモ機能があります。iPhoneのリマインダーのようなチェックリストで、「入院バッグ」「退院してすぐ」と自分なりのグループを作って書き出しておけば、そろえたものからチェックして消していけます。あとから思い出したものは、その場で一行足すだけ。頭の中のリストを外に出しておけるだけで、「あれ買ったっけ」の不安がずいぶん減るのではないでしょうか。
もうひとつ地味に効くのが、出産予定日を登録しておくことです。ママレコは予定日を入れておくと、今日が妊娠何週何日で、予定日まであと何日かを自動で表示します。「入院バッグは妊娠36週まで」と決めても、頭の中で毎回逆算するのは面倒ですが、あと何日かが見えていれば、準備の締め切りが具体的な日付になります。健診や入院の予定は、カレンダーに入れておけば当日まで見失いません。

そして忘れずにおきたいのが、準備は産む人ひとりの仕事ではない、ということ。メモやカレンダーはあなた個人のものとして使えますが、赤ちゃんが産まれてからの授乳・おむつ・睡眠といった育児記録は、パートナーと無料で共有できます。準備の段階から「産まれたら一緒に記録する」つもりでいると、産後の分担がずいぶんなめらかになります。共有の始め方は「里帰り出産で夫が育児に乗り遅れないために。無料でできる記録の共有」も参考になるはずです。
ママレコが表示する週数・予定日などは、記録にもとづく目安であり、医療的な診断ではありません。気になる症状や体調の変化があるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。
全部そろえてから、ではなく
出産準備は、リストを上から全部そろえてから迎えるものではありません。入院に要るもの、退院してすぐ要るもの、後から買えるもの。この3つに分けて、締め切りの早いところから手をつければ、今日やることは驚くほど少なくなります。
そろっていないものがあっても大丈夫。多くは、必要になってからでも間に合います。まずは入院バッグの中身から、ひとつずつ埋めていきましょう。
参照
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