生理がまだ来ない。そろそろ通院の週かもしれない。でも来週は動かせない会議が入っている——朝、スマホのカレンダーを開いて、そんなふうに頭の中で予定を組み替えた経験はないでしょうか。妊活と仕事の両立で本当にすり減るのは、大きな決断の場面よりも、この「毎月ちょっとずつ予定が読めない」ことの積み重ねだったりします。
「妊活 仕事 両立」と検索すると、使える休暇制度や、上司への伝え方が並びます。もちろん大事なのですが、この記事ではもう一歩手前、なぜ両立がこんなに気を張るのかという理由のほうから整理します。そのうえで、今日からできる段取りまで書くつもりです。

両立を難しくしているのは「休みにくさ」より「予定の読めなさ」
先に結論を書きます。妊活・不妊治療と仕事の両立で、いちばんの負担になりやすいもの。それは休みそのものの取りにくさというより、通院日が直前まで決まらず、予定が立てられないことだと思います。
厚生労働省が令和5年度に行った調査があります。不妊治療をしたことがある人のうち、両立できずに仕事を辞めた人が約11%でした。離職・雇用形態の変更・治療の中断まで含めると、約26%が、なんらかの形で両立をあきらめて働き方や治療を変えていました。
いっぽう会社の側を見ると、不妊治療をしている社員のための制度がある会社は、約27%にとどまります。4社に3社には、まだ制度がありません。
同じ調査で、両立できずに仕事や治療をやめた人・雇用形態を変えた人に理由を聞いています。いちばん多かったのは、「通院の時間が読めない、告げられた通院日に外せない仕事が入るなど、日程の調整が難しい」でした。

ここで見落とされがちなのは、制度が整っても「予定の読めなさ」はあまり解消されないという点です。休暇制度があっても、いつ休むかが前日や当日に決まるなら、周りへの調整はやっぱり毎月発生します。だから「制度がある会社に転職すれば解決」という単純な話にはなりにくいのです。
なぜ通院は「計画的に休む」がしにくいのか
「計画的に休暇を取りましょう」とよく言われます。でも妊活・不妊治療の通院は、そもそも計画的に組みにくい性質を持っています。
理由は、通院日が体のリズムで決まるからです。タイミング法や人工授精などの一般不妊治療は、排卵の周期に合わせて通院します。そのため、前もって予定を決めにくいことがあります。体外受精などでは、卵胞の育ち方を見ながら、次の受診日が直前に決まることも。
厚生労働省のマニュアルには、通院日数の目安が載っています。
| 治療 | 女性(月経周期ごと) | 男性 |
|---|---|---|
| 一般不妊治療(タイミング法・人工授精など) | 1回1〜2時間ほどの通院が2〜6日 | 0〜半日 |
| 生殖補助医療(体外受精・顕微授精など) | 1回1〜3時間ほどの通院が4〜10日、さらに半日〜1日の通院が1〜2日 | 0〜半日 |
男性も、手術をともなう場合は1日必要です。日数はあくまで目安で、医師の判断や体調で増えたり減ったりします。
つまり、1か月先の手帳に「この日が通院」と書き込める性質のものではないのです。
ここを「自分の段取りが悪いから予定が立たない」と受け取ってしまうと、必要以上に自分を責めることになります。読めないのは、あなたのせいではなく、治療の仕組みのほうです。
2022年4月からは、不妊治療にも保険が使えるようになっています。対象は「一般不妊治療」(人工授精など)と「生殖補助医療」(体外受精・顕微授精など)で、一定の条件があります。また厚生労働省は、主治医と職場の間で通院への配慮を伝え合うための「不妊治療連絡カード」という様式を用意しています。診断名を細かく言わなくても、必要な配慮を職場に伝える橋渡しとして使えるものです。制度の詳細や条件は変わることがあるので、勤め先の人事や自治体の窓口でも確認してみてください。
「読めなさ」を先回りで減らす、5つの段取り
予定が読めないこと自体はゼロにできません。でも、読めない幅を狭めておくことと、急に決まっても動きやすくしておくことはできます。今日から手をつけられるのは、このあたりです。
| やること | ねらい |
|---|---|
| 生理の開始日・終了日を記録して、自分の周期をつかむ | 次の生理・排卵のおおよその時期が読め、通院が集中しそうな週を早めに見当づけられる |
| 通院が増えそうな週に、動かせない予定を置かない | 「その週は在宅寄りにする」など、当日決まっても対応できる余白を先に空けておく |
| 当日・前日連絡の文面をテンプレにしておく | 受診が急に決まっても、毎回ゼロから言葉を探さずに済む |
| 不妊治療連絡カードで主治医と職場をつなぐ | 診断名を細かく説明しなくても、必要な配慮を職場に伝えられる |
| 通院・仕事・服薬の予定を1か所にまとめる | 頭の中の同時進行を減らし、抜け漏れと「調整疲れ」を軽くする |
とくに最初の「自分の周期を知る」は、地味ですが効きます。周期がだいたい何日か分かっていれば、「来週あたり生理が来て、その少しあとに通院が増えそうだ」というざっくりした見当がつきます。ピンポイントで当てる必要はなく、繁忙期と重ねない判断ができるだけで十分です。
妊活の入り口として「まず周期を記録する」ことは「妊活は何から始める?やることリストの前に、まず済ませておく1つのこと」にも書きました。排卵の時期を1日に決め打ちせず幅で考える話は「排卵日はいつ?「生理から14日目」を信じていると、5日ずれることがある」を参考にしてください。
ママレコで、通院と仕事の予定を1か所にまとめる
ここまで「周期を知って、予定を1か所にまとめる」と書いてきましたが、これを全部アプリなしで頭と手帳でやろうとすると、それ自体がもうひと仕事です。ママレコは、この「読めなさを減らす」作業をそのまま持ち込める形にしています。
生理の開始日・終了日を記録していくと、その記録から自分の周期を学習して、次回の生理や排卵のおおよその時期を出します。固定の28日ではなく直近の実績の平均から予測するので、周期にゆらぎがある人ほど、平均任せより自分に近い見当がつきます。
排卵の予測も1日ではなく妊娠しやすい期間として幅で表示するので、「このあたりが通院の山になりそう」と、仕事の予定と重ねて眺めることができるわけです。
通院や受診の予定は、Googleカレンダー風のカレンダーにプライベート予定として書き込めます。この予定はあなた本人だけのもので、パートナーにも共有されません。生理・基礎体温・妊娠の記録も同じく本人のみで、共有されるのは赤ちゃんが生まれてからの育児・成長の記録だけです。職場や誰かに中身を見られる心配なく、通院と仕事を同じカレンダーで管理できるということです。

忙しい時期ほど後回しになりがちな葉酸や服薬は、カスタムリマインダーで飲み忘れを防げます。基礎体温をつけていれば、グラフが自動で描かれ、PDFに書き出して受診時に持っていくこともできます。「次の受診で聞きたいこと」や、急な受診に備えた連絡の文面は、日付にも記録にも縛られないメモに置いておけます。
メモも本人だけのもので、同じアカウントなら複数の端末で同期される仕組みです。
ママレコが表示する周期や排卵の予測は、記録にもとづく目安であり、医療的な診断ではありません。通院の日程は、卵胞の状態や体調をもとに医療機関が判断します。予測はあくまで見当をつけるためのもので、実際の受診日は主治医の指示に従ってください。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。
予定が読めないのは、あなたのせいではない
妊活と仕事を両立していると、「また急に休むことになった」「うまく段取りできない自分が悪い」と感じてしまう日があるかもしれません。でも、読めないのは治療の仕組みのほうで、あなたの段取りの問題ではありません。
できるのは、読めない幅を少し狭めておくことと、急に決まっても動けるように余白を空けておくこと。そのために、まずは生理が始まった日を記録するところからで十分だと思います。手帳に完璧な予定を書き込めなくても、来月のおおよその見当がつくだけで、心の準備はずいぶん変わります。全部を抱え込まず、まず1か所にまとめることから始めてみませんか。
参照
- 厚生労働省「不妊治療と仕事との両立について」
- 厚生労働省「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」結果について
- 厚生労働省「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」
- 厚生労働省「不妊治療連絡カードをご活用ください」
- 厚生労働省「不妊治療に関する取組(保険適用)」
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